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中村俊輔効果からか、最近「セルティック」について人が話すのを聞きますね。
ほいで、「カトリックのアイリッシュが作ったクラブなのでアイリッシュのサポートが多いクラブだ」 っていう話になります。 ここまではいいんですけどね。 「アイリッシュ」という話になると、なんだかケルト至上主義みたいなものになって、 「アイリッシュ・ケルトがらみならなんでもヨイショ」みたいな風潮があって、 そのカラミで「ManUも一緒だからアイリッシュのサポが多い」とか、 普段意識していないことにすらやたらルーツ論を持ち込まれてしまうことがあったりして、 ???と、ちょっと首をひねるようなこともたまさかに耳にするのです。 ルーツはルーツとして知っておくことは大事だと思いますよ。ホントに大切。 いやむしろ知らなければいけないことです。 んでもね、歴史を調べると、色々な転換期を経て今があるワケで、 クラブの現在のあり方というのは、必ずしもルーツに忠実ではないという事実がさらなるルーツとして浮かび上がってくるのです。 たとえばニューカッスルとうちのサポはみんな炭鉱労働者でみんな造船労働者でそんで 清教徒革命の恨みを引き摺ってますかって? んなワケねーですな。今ニューカッスルと双子都市面してるゲイツヘッドは、50年代までは赤白と黒白が半々だったと言いますし、 何よりも50年代までは、赤白と黒白の ライバリティは顕在化していなかったという事実があります。 なんであーなったかというと用語集に書きましたが 造船業のもつれが発端で、清教徒革命とかの因縁の歴史は、 後から史実を調べてみた挙げ句わかったオマケのこじつけ、くらいに 考えておいた方がヨイのです。 さて、「アイリッシュに人気のあるチーム」に話を戻しますが、 実感として、アイルランドや北アイルランドでManUが人気あるのは、 「カトリックでアイリッシュの作ったクラブ」というルーツよりはむしろ、話してみりゃわかるが、 アイリッシュの選手が活躍した強いクラブって いう理由の方がデカいんで、 ManUの「カトリックが作った」って言うのは、オマケみたいなもん ですよ。ジョージ・ベストとかロイ・キーンとか、アイリッシュの英雄ですな。 セルティックは知らんけどね。 リヴァプールになるともっと直接的で、 リヴァプールがアイリッシュに人気あるってのは 「強くて人気あるチームだった」っつー一点のみととても潔いんですね。 フットボールは宗教じゃないっす。フットボールはフットボールなんす。 「アイリッシュのカトリックが作った」クラブがルーツ通り支持されるなら、 エヴァートンがアイリッシュに支持されるべきであり、実際マージーサイドのアイリッシュは エヴァートンをサポートしているのに、 UKやアイルランドのアイリッシュには、エヴァートンよりも むしろ、何故かリバプールのサポーターが遙かに多いんです。 エヴァートンもリヴァプールも、 中産階級であるプロテスタントのメソジストが作ったクラブなのですが、18世紀以降増えたマージーサイドへのアイルランド移民の より所になっていたのは、ドのつくプロテスタントな リヴァプールよりは、むしろエヴァートンの方が許容力が 大きかったのです。ゆえに、 忠実な「カトリック系アイリッシュ」ならば、リヴァプールとレンジャーズを嫌うのがスジなのですよ。アイリッシュ系の マージーサイドの移民は本来エヴァートンをサポートしていたのです。 対照的にプロテスタント色が強いチームがリヴァプールでした。 エヴァートンは、 元々のマージーサイドのアイリッシュ移民の支持に加え、 50年代にエヴァートンはアイリッシュ系の選手の活躍により、 カトリック色を強めて行ったでした。このチャントこそ、 エヴァートンのカトリック色を示す決定的なチャントであります。
But most of all, we hate Big Ron And we'll hang the kopites one by one On the banks of the Royal Blue Mersey So to hell with Liverpool and Rangers too We'll drown them all in the Mersey And we'll fight, fight, fight with all our might For the lads in the Royal Blue Jerseys. なんでリヴァプール-セルティックが仲良しに見えるかというと、お互いYou'll Never Walk Aloneが有名になってしまったために、 なんだか仲良しに見えるよーになってしまったということのよーなのですね。 余談ですが何故リヴァプールが「アイルランド」のアイルランド人にサポートされだしたかというのは、 70年代以降、ビル・シャンクリーにより黄金期を迎えたリヴァプールの試合がアイルランドにテレビ放送されたからであって、 ManUとリヴァプールの人気がアイリッシュに高いのは、巨人ファンが田舎に多いのと同じ論理なワケです。 ちなみにベルファスト出身のアイリッシュ、ジョージ・マッカートニーくん家、家中まんゆーでジョージくんだけリバプールという わかりやすいおうちです。あぁリンゴちゃん(←サンダーランドサポによる愛称です)てば美少年。
祖父はアイルランドのボクサーという、 もうドのつく由緒正しい「有名なアイリッシュ・スポーツ・ファミリー」、 ジェイソン・マカティア兄さんは、 マージーサイドはバーケンヘッドに生まれたアイリッシュながらリヴァプール・サポーターなのは有名ですね。 本来のルーツに忠実なら兄さんはエヴァートンサポじゃなきゃあきまへん。でも 兄さん、アホのつくレッズサポというか一生あいつはリヴァプールの選手だと思ってるアホですからほっといてやってください。 ついでにYou'll Never Walk Aloneのルーツをカトリックとかに求めるトンデモ説があるみたいで、 数日ずーっと頭ひねってたんですが、 クロさんとこ 読んできたんだけど、これをカトリックにこじつけるのは、世界全ユダヤ陰謀説くらいの無理がありますよ。 「全英中のヒットソングをマージーサイドでかけてたら、そのバンド、Gerry & the Pacemakersがマージーサイド出身だったもんで、そのうちみんな歌うよーになった」 って解釈するのが一番無理ないですな。うるさいですがこの頃のリヴァプールはプロテスタントですし うるさいですがこの頃のマージーサイドのアイリッシュ系カトリックはエヴァートンをサポートしてるワケですから。 BBCのコメンターがやはり「リバプールのほうが数週間早い」というコメントを残しているわものの本では必ず元祖はリバプールになっとるハズです。 ただ、同時に始まったような気配もあるので、「どっちが真似た」とかいう話ではなさそうなのです。 セルティックがやや遅れて始めたが、どっちも同時期に大衆的な流行歌をとりいれ始めた、同時期に流行った。 んで両方とも有名になった。 ほんでカタのつく話なんですな。 まぁReady To Goやプロコフィエフ「ロミオとジュリエット」の「騎士の踊り」をサンダーランドで流していたら それが格好良かったので他のクラブも真似し出したってゆーのとあんまレベルが変わらんでしょい、この話。 Wise Men Sayはサンダーランド元祖なのは裏とれてますがどこもみんな真似してるしねぇ。 もっとも、Wise Men Sayをアンセムにしたばかりかプロコフィエフまでかけるプレストンは真似しすぎとは思いますが。真似しすぎとゆったらプレストン側もすまへんと言うらしいのでいいのですが。 んでもいろんな所で真似されてるということは、それだけ本家が素晴らしかったとゆーことでして。その辺りは鼻が高いすな。 You'll Never Walk Aloneの曲はミュージカル「回転木馬」の音楽のリメイクなんだけども、その元ネタ音楽の作曲者は、「ニューヨークの裕福な家庭に生まれたどユダヤ教徒」 でありまして、そんでクロさんも指摘されてるよーに宗教歌としてもゴスペルなので、ゴスペルはピューリタン系文化なので、 やっぱしどう考えても普通にアイルランド系カトリックとは結びつかないんです。 これをカトリックとこじつけるのは、「元々啓典のヤーヴェの民のもと」くらいまでさかのぼらないと無理でして そこまでこじつける、つーか、ねじまげるとモーゼが出てきてこんにちわまで戻るしかないんですよフツーに考えたら。 フットボールがフットボールとして、ビジネスとして拡大していくにつれて、ルーツをそのまま保って行くなんてことはありえないし、 今そこにあるフットボールはイデオロギーよりも巨大なフットボールであるわけです。 そしてフットボールがなにが偉大かというと、イデオロギーや立場を超えてフットボールが人々を魅惑してやまないということですよ。 だから大衆の歴史はルーツの規定する経路を変えてゆく。プロテスタントであったエヴァートン、アイリッシュの支持によるカトリック化を歴て、 そして、レンジャーズの元選手達(ダンカン・ファーガソンとかね)もセルティックの元選手達(デイヴィッド・モイズとかね)もモロ腕広げて歓迎していく、 懐の広いクラブになっていったように。 「知る」ことは重要、イデオロギー保守のためになんか何でもこじつけるのはさ、 「全ての料理の元祖は上方だから大阪が日本で最も優れた土地」くらい言うよなレベルの話になりますで。 まあなにがいいたいかというと、カトリックのルーツだ アイリッシュの心だとお題目と蘊蓄を何度も何度も唱えられるよか、 いやもうそれは知ってるんだから、 今先に目の前にあるフットボールを語ってくれんかと、 目の前にあるフットボールを語ることをおろそかにしてるから、 ボールを蹴る前に中村を批判する日本のセルティック事情通?が生まれることになる、 なんていう本末転倒な事態が生まれてしまうんだと思いますけどね。 カトリックでもなんでもねぇ私らも楽しませて貰える フットボールをする、そーゆー肩の張らない姿勢で見るのもええでそ。 もちろん、「知った上」だけどね。 でもさぁ、どこまでルーツを知れっていうのも、なんだか フットボールファンには難しい話だと思うんですよ。 だって、The Guardianだって、「リバプール=カソリック、 エヴァートン=プロテスタント」だと、「リバプール-セルティック」 「エヴァートン-レンジャーズ」の 表面の関係だけ見て天下の高級紙が本来の支持母体をおもっくそ真逆に間違えてた ワケですから、「フツーの人にそれ以上を求める」ことは殆ど不可能だろと思うのです。 そして、やっぱり目の前のプレーを先に、いま自分が見ているものについて 自分の目で見極めることのほうが余程大切だと思いますし、現地の人たちの 一番の関心はやはり「おまえ今のプレーを見てどう思った」なのです。これは どんなチームでも変わることはないと思います。 世界中の大衆を惹き付けてやまない娯楽、それがフットボールの素晴らしさ。誰もが スタジアムで平等に怒ったり泣いたり同じ感情をシェアすることが出来るからこそ、 これほど人を惹き付けて止まないのですから。 余談ですがSunderland AFCも初期はカトリック教会の庇護を受けて発展してきましたが、カトリックか?と言うと「宗教とは関係ないわー」と怒られます。 余談その2ですが、ボブ・マリーが「スタジアム・オブ・ライトと名付けたのは、スタジアム・オブ・ライトが モンクウィアマウス炭坑の跡地に建っているという史実をふまえて、 炭坑から上にあがっていくときのライトに向かって歩いていくさま、Into the Lightへのオマージュ として名付けた」というもっともなこと言ってますが、あれ大嘘のこじつけだってことはみんな知ってて、 ただ単にベンフィカのスタジアムの名前真似ただけなことなんか誰だって知ってる。 でも、その美しいウソと美しいこじつけに笑うんです。 んでも、ウソはウソとしてこじつけて「楽しむ」ことができる、それが歴史やルーツを知る楽しみですね。 |